超短期経済モデル(Current Quarter Model: CQM)の説明

オリジナルな米国経済超短期モデル(CQM)は1980年代後半にペンシルバニア大学のローレンスR.クライン教授によって作られました。CQMは約70の月次経済・金融指標を統計式によって国民所得統計の各項目に結び付け日々の月次経済・金融指標の発表に応じてそれらの各項目の予測をします。それを、毎週繰り返すことによってその週に新しく発表された月次経済・金融指標の景気への影響を調べることができます。この統計式は純粋に計量経済学の手法に基づいたものであり、予測値に対して恣意的な調整はなされていません。そのため、毎回の予測に連続性があり景気動向の変化を追うことができます。

例えば、月次経済指標と国民所得統計の個人消費支出項目に関しての統計式の例を示すと次のようになります。

国民所得勘定
月次経済指標
個人消費支出 小売り販売統計
耐久財消費
自動車、部品 自動車販売、自動車の消費者価格指数
家具、家庭器具 家具、家庭装飾・器具の小売り販売
その他 耐久財販売−上のカテゴリー小売り販売
非耐久財消費
食料・飲料 食料の小売り販売
衣服・靴 衣服・装飾の小売り販売
ガソリン・オイル ガソリンスタンドの小売り販売
その他 非耐久財販売−上のカテゴリー小売り販売
 
サービス消費 サービスセクターの雇用

すなわち、毎月の小売り販売統計が発表されるたびに国民所得統計の耐久財・非耐久財個人消費支出が再推定されることになります。更に自動車、部品への個人消費支出の場合は自動車の消費者物価指数の影響も受けます。サービス消費の場合は毎月のサービス産業の雇用者数から推定されます。すなわち、1月、2月、3月の小売り販売が順次発表されるにつれて第1四半期の個人消費動向をより正確に推定できるようになります。

CQMにより各期の経済成長率がどのように変化していったかをグラフでみると同時にそのパフォーマンスの良さも確認できます。(CQMによるGDP予測のパフォーマンスを参照)。またより詳しいCQM理論に興味がある方はL.R.Klein、E.Sojoの共著“Combinations of High and Low Frequency Data in Macroeconometric Models (CQM_Theory.pdf)”を参照して下さい。


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