情報インフラの米国産業への影響:パネル分析

要 約
この講義ではIT投資の米国産業への影響に焦点をあてます。最初に、産業別のIT投資をレーガン時代(1983-90)とクリントン時代(1991-97)に分けて比較します。卸売り業、ファイナンス・保険・金融・不動産(FIRE)、サービス業においてIT投資が1990年代後半に急速に伸びたことがわかります。次に、パネル分析によって各産業がITインフラからどのような影響を受けるかを調べました。IT資本ストックが非IT資本ストックに比べ比較的大きい産業において、ITインフラに対するその産業のアウトプット弾力性が大きくなることが見出されました。たとえば、卸売り業、証券・コモディティーブローカーなどです。この分析においてITインフラと各産業のIT投資にシナジー効果があることが示されます。 もう一つの興味ある結果は、コンピューターを使う労働者が多い産業ほどITインフラのその産業アウトプットへの影響が大きくなることです。たとえば、金融関係です。これらの結果からITインフラの影響を効果的にするにはIT投資ばかりかヒューマンキャピタルの改善が不可欠なことがわかります。

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