IT革新の米国労働市場における影響

要 約
この講義はIT革新が米国の労働市場に与えた影響を3つに分けて分析します。最初はIT革新の女性労働者市場への影響です。近年における女性労働者の教育水準の向上、彼女らのコンピューター・インターネット使用についての興味ある統計が示されます。IT革新が女性労働者に対して非常に大きな機会を与えていると言えます。第2に、IT革新の賃金格差への影響を分析します。いまや、コンピューターが使えるか否かは労働者の賃金に大きな影響を与えます。同じ職場においてコンピューターを使える労働者は使えない労働者にくらべ平均27%賃金が高いという結果がえられました。さらに、この分析はブルーカラー、ホワイトカラーの場合に関しても行われました。最後の分析はIT投資と他の生産投入要素との関係です。たとえば、IT資本ストックと労働は補完的なのか、あるいは代替的なのかです。これらは、“IT革新と米国経済における収穫逓増”の講義で推定した2-レベル、3−レベルのC.E.S.生産関数からアレンの偏代替弾力性、ヒックスの偏補完弾力性、シャドー代替弾力性、直接代替弾力性を計算することによって論じられます。特に、IT資本ストックと他の投入要素との直接代替弾力性が非常に大きいことから、IT投資が他の生産要素に与える影響は非常に大きいと思われます。