IT革新と米国経済における収穫逓増

要 約
IT革新が企業にとって収穫逓増を可能にしたと言えます。たとえば、1990年代の多くの企業による合併・買収は明らかに規模の経済、収穫逓増を目指したものと言えます。この講義では、規模の経済を投入要素価格が一定、また一定のアウトプットのもとでコスト最小化が行われるという条件のもとでのトータルコストとアウトプットの関係と定義します。

米国の非農業民間部門において、IT資本ストックをいれたコブダグラス生産関数、さらに労働投入をホワイトカラーとブルーカラーに分けた2レベル、3レベルのC.E.S.生産関数が推定されます。これらの推定結果から米国の非農業民間部門が10%-15%の収穫逓増にあることが理解できます。このことから、IT革新が進展するにつれて米国の国際競争力がますます強くなることが示唆されます。ITエコノミー時代において企業が生き残るには如何に収穫逓増を追及するかにあるといえます。