世界経済回復の持続性:新たな技術発展に焦点をあてて

要 約
クライン教授は1999年後半と2000年の世界経済について語ったあと、1990年代における米国の長期景気拡大の幾つかの要因に焦点をあてます。それらの要因として適切な財政政策、豊富な信用供与、ベンチャー・キャピタル、好調だった株式市場、柔軟な労働市場、そしてITといわれる新しい情報技術をあげています。特にITによりクライン教授は技術的な投入の効率化による供給側と市場の効率化による需要側の両方における収穫逓増を指摘します。

コンピューター、データ処理サービス産業から他の産業へのサービスの流れのB2Bを分析するために、クライン教授は投入-産出表(1972,77,82,87,92年)を使います。クライン教授はコンピューター、データ処理産業の金融セクターへのサービスの流れが1980年代の初めから増加し始めていることを示します。すなわち、米国においてはIT革新が1990年代に始まったというのが人々のあいだでの共通の仮定になっていますが、IT革新はそれよりも10年以上前に米国では始まっていたと主張します。

最後に、クライン教授は世界経済の中でのITの特質について話し、ITからみたいろいろな国を評価します。クライン教授の結論の一つとして、今後世界経済においてITが堅調に発展拡大していくことにより、米国がこの分野において長期的な支配をすることはなくなるだろうと言います。