本当にニューエコノミーか?

要 約
クライン教授はタイトルに?記号をつけています。教授は1990年代の米国の経済拡大が驚くべきものだったことは認めていますが、それがニューエコノミーと呼ぶに値するものかについて疑問を投げかけています。

まず、教授は1990年代における米国のインフレなき成長の理由を考えます。例えば、冷戦の終結による平和の配当を重要な理由の一つとしてあげています。しかし、ニューエコノミーの議論に関して教授は生産性に焦点をあて議論を発展させます。教授は実証分析によって米国経済が10%-15%の収穫逓増にある事を示し、このような収穫逓増を米国企業が求めている合併・買収などによるシナジー効果の表れとみています。

1970,80年代と現在の経済環境を比べれば幾つかの点で相違があります。今の経済は第2次世界大戦後の主役だった重工業、建設から変化してきました。すなわち重工業からサービスベース、知識ベースの経済活動へと転換してきました。教授はこのような米国経済の変化を革新(evolution)というよりは進展(evolution)として捉えています。すなわち、経済の局面は変わりつつもその本質は変わることなく、経済論理は以前のままであると説明をします。

これから先、世界中の国において“ニューエコノミーの存在”についての質問がでると思われます。教授はその答えとして“経済環境の違いによる経済の進展であり、全く異なる経済行動からなるニューエコノミーではない”としています。